猫は気まぐれ  第3話

「……つづきぃ……」
召喚課に戻って来た密は職員のいいおもちゃになってしまい、とうとう泣きそうになってしまっていた。
しばらく様子を見ていた都筑達だったが、密の小ささと職員の背との差で密の姿がよく見えなかった。

「ふぇ……ふぇ〜ん、つづきぃーっ」
「あ、泣き出しちゃった」
耐えられなくなった密はついに泣き出してしまい、側にいた若葉が抱き上げて都筑のところに運ぶ。
「つづきぃ〜」
「あ〜、よしよし、泣かない泣かない」
都筑に抱きつく密を職員は無言で眺めていた。
「なんか……密君が……違う……」
弓真が言うと職員は呆然としながら頷く。

「さっきの検査でわかったんやが……」
亘理が言いにくそうに言葉を濁す。
「なんなんですか。はっきり言って下さい」
「……坊は……都筑の事以外覚えとらんようやな……」
「そうみたい。みんなの事聞いたけど誰の事も覚えてなかったんだ」
都筑が密を撫でながら付け加える。
「ついでに……都筑ラブになってしもーたようや……」
亘理の言葉にかなりへこんでいる召喚課職員。

「密君、都筑さんの事好き?」
弓真が唐突に聞く。すると密はぱあっと笑顔になり、
「うんっ! だ〜いすきっvv」
「ひそかぁ〜vv俺も密の事だ〜いすきっvv」
「うわ〜いvv」
そういって頬をスリスリしてラブラブしている二人を見るのは辛いものがあった(あまあま過ぎて)。
完璧にキャラの変わってる密に巽は仕方なく強行手段に出ようとした。
「黒崎君、今日は私のところに泊まりなさい。そんな人の側では何をされるか解ったもんじゃありませんから」
巽が溜息混じりに言うと、密はムウッとして巽を睨み付ける。
「……巽、止めといた方がええ。今の坊は極度の寂しがり屋や。都筑と放すと大変な事になると思うで?」
「「…………」」

亘理の提案もあり、都筑は密と共に早退を認められた。


「密、お腹減ったろ。何食べたい?」
帰り道、そろそろお昼時だと言う事を思い出して都筑が聞く。
作るな、とキツク言われているので、帰る前に弁当でも買おうと思ったのだ。
「うんとね〜。ぼく熱いのは苦手なの」
「……猫だしね」
ごめんなさいと謝るような瞳で見上げられ、都筑が苦笑いして言った。
「うんとねっ、えっとぉ……お魚……」
悩んだ末、出て来た答えに都筑はちょっぴり的をはずしていた。
旧家の跡継ぎだったくらいだから、高級な和食を要求してくるかも知れないと内心心配していたのだが。
「……猫だしね……」
「え? なに?」
「……なんでもないよ」
聞こえないように言ったつもりだったのだが音だけ聞こえたらしい。
「じゃあ、お魚のお弁当にしようね」
「うん」


家(密の家)につくと密は喉が乾いた。
「つづきー、ノドかわいたぁ」
お弁当をあっためていた都筑が密に目を向けると、おそらく無意識であろう可愛らしい表情で、しっぽをゆらゆら揺らしていて、無性に襲いたくなった。しかしここは我慢我慢。
「お水で言いい? それともミルクにする?」
「ミルクぅ」
都筑はふざけて言っただけの"ミルク"にしっぽをさらに揺らし、腕をは〜いと挙げて密が言う。
「…………小悪魔めぇ……」
ミルクをコップに入れながら呟く。密には聞こえなかったようだ。

コクコクとおいしそうにミルクを飲む密を眺めながら都筑は煩悩と格闘していた。
(ダメダメッ! 密は今ちびネコなんだからッ! ……で、でも……か……可愛すぎvv)
1人百面相をしている都筑に密は首をかしげる。

「ごちそうさまでしたぁ」
「はい、おそまつさま」
顔の前で手を合わせて行儀よく密が言う。都筑の葛藤は食事中も続いていたりした。

コメント:
人のたくさん出てくるシーンは嫌いです。じゃあ書くな、なのですがそうは問屋が下ろさない(?) 
なんかうまく続けられる自信がなかったので三話はここまで(逃げ)
次回はどのぐらいの時が経っているのでしょうか(おい)



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