猫は気まぐれ  第2話

密が猫になって三日が過ぎていた。
密がどうしても仕事に行くと言って聞かないので、仕方なく登庁している。

「黒崎君、無理して仕事しなくてもいいんですよ?」
巽が心配そうに聞く。
「平気です。別に病気とかじゃないし……」
「……そうですか?」
密はさすがにペンは持てないのでパソコンを使って書類を書いている。
小さな手(足?)でキーボードを押しているその姿に召喚課職員のほとんどは抱きつきたい衝動を抑えていた。
しかし、そんな衝動を抑えきれないのがこの三人。

「密君〜vv」
「是非この特製・子猫用ピンハを着て下さいvv」
「誰が着るかそんな物ッッ!!」
北海道にも行かずに弓真・さやははしゃいでいた。

「密、かわいいvv」
「うるせー、仕事しろよお前ッ!!」
都筑はいつも以上に密にじゃれついていた。

「都筑さん!! 猫になっている黒崎君にまで迷惑かけてるんじゃありません!! あなたたちも!」
ついに巽の雷が落ちる。
しかし、ちょうどその時、バタバタと亘理が入って来た。
「出来たでッッ! 坊の解毒剤!!」
どうだと言わんばかりに胸をはって亘理が言う。
「本当ですか!?」
密が亘理に飛びつく。
「ああーっ! 密ぁーっ」

密を机に座らせて、試験管からお皿に薬を移していく。
「これを飲めば元に戻るはずや」
移し終えると、密はぺろぺろとお皿に顔を付けて薬を舐めていく。
その時、都筑がふと思い出す。
「亘理、このまま元に戻ったら密……」
「……裸……?」
都筑の言葉の意味に気付いた巽がぼそりと付け加える。

「「ええーーっっ!!」」

皆が叫んだのとほぼ同時に
バタ。
「ひ、密?」
突然密が倒れて、皆あわてる。
「どーなってるんですかッッ亘理さんッッ!!」
「しっ、知らんわそないな事……」
「とにかくホケカンに運ぼう!!」
三人はバタバタと走って、ホケカンに密を運ぶ。


「元に戻んないよ?」
しばらく密の様子を見ていた三人だが、何も起こらない。
「遅効性なんかな……」
しかし、起こってしまっても困る。このまま元に戻ってしまうと、完全に裸になってしまうのだ。
「失敗したんじゃないんですか?」
「そないなことないはずやけど……」
「でも、ここで元に戻られるよりは失敗した方がいいかも」
「そうですね」
「裸はな……理性が」
ズベシッ

そんな話をしていると密が動いた。
「う……んにゃ?」
「「「にゃ?」」」
三人は密の声に驚いた。
三人が顔を見合わせていると、ボンッという音と共に煙りが立ちこめる。
やっと煙りがはれてきた。
「にゃぁ〜」
なんとも可愛らしい声がした。三人はあわてて密の方を見るとそこにはなんとも可愛らしいネコ耳の生えた男の子が体をおこしていた。後ろにはしっぽがゆらゆらと揺れている。
「なっ……密?」
「ま、まそか、そんなはずは……」
「な〜に? つづきぃ」
きょとんとして聞き返してくる密君。
「ひっ、ひそか……なの」
「そーだよ? どーしたの? ぼくなんか変?」
不安そうに都筑を覗き込む密君に三人は一瞬固まる。
はっとして都筑が弁解する。
「そっ、そんなことないよ。でも……でもー……」
「坊、ふとんから出たらあかんで」
都筑が言いよどんでいると、亘理がフォローしてくれた。
なにせ、猫密が着ていたのは本当に小さい子用の服だったので、6、7歳の姿の密君には小さすぎたため、破けてしまっているのだ。つまり現状で密君は裸なのだ。
「と、とにかく黒崎君に着せる服を適当に買って来ましょう」
「あ、俺も行きたい。密に可愛い服を……」
都筑がにやけながら立ち上がろうとすると、密君が小さな手で都筑のシャツを掴んで、瞳を潤ませ、上目遣いに都筑を覗き込む。
「ドコ行くのつづきぃ? ぼくも行くぅ」
そんなことを言われては密を置いて行くわけには行かない。
「なついとるな……」
亘理がボソッと言う。亘理・巽は少し面白くないらしい。
「坊、わいと一緒にここで待ってような」
にこっと亘理が言うが密は都筑に抱きつく。
「つづきぃ、やだよぅ。知らない人とおるすばんなんてヤダよぅっ」
「し、知らない人ぉ!?」
「何言ってんの密。亘理でしょ?」
「知らない」
密がきっぱり言うと、亘理はいじけてしまう。
「そうやったんか……。わいは忘れられる存在……」

「わ、私のことはわかりますよね?」
巽はもしかしてと思い、恐る恐る聞いてみる。
「だぁれ?」
…………。
隅の方でいじけている大人二人(笑)。

「もういいです。服を買いに言って来ます」
巽は立ち上がり、落ち込みながらもそう言って部屋を出る。
「都筑、変なことするんやないでッ!」
亘理も落ち込みながら巽について行く。
「なんか……ちょっと可哀想かも…………」

「密は何で俺の事しか覚えてないんだろ」
ベットに腰掛けて密の頭を撫でながら都筑が独り言を言う。
しかし、密君にもしっかり聞こえたので密君はまた不安そうな顔をする。
「つづき、ぼく悪いことしたの?」
「えっ……いや、密は何も悪くないよ」
こうなったのは亘理のせい(おかげ?)なのだから。
しかし、何と言ってもさっきから密は密らしくない。
子供だからかやけに甘えん坊になっている。
「………………」
悩殺的な密君に都筑は理性を保つので精一杯だった。しかし、都筑の心中などつゆ知らず、密君の色仕掛け。
「つづきぃ、あのね、ちゅうして?」
「はい?」
突然の発言に都筑はすっとんきょうな声をあげる。
「ちゅうして?」
しっぽを揺らして、少し頬を赤くしながら密はだめ?と首をかしげる。
「……ダメなわけない……」
そう言って都筑は密の唇に自分のそれを重ねる。
しだいに深くなっていく口付け。
歯列をなぞり舌を侵入させ、密のそれに絡める。
猫密のあいだ、キスもさせてもらえなかった都筑はもう歯止めが聞かない。
「ん……ふあ……」
うまく呼吸が出来ず、甘い声をもらしてしまう密に都筑はさらに煽られる。
「んっ……」
ようやく解放された密は荒い呼吸を繰り返す。
「ちゅうって言ったのに」
潤んだ瞳で上目遣いに睨むが都筑を煽っているだけだった。
「ひそか……」
都筑は何も着ていない密の鎖骨あたりに顔を埋める。
「にゃぁ……」

と、その時、ドアが開く。
「買ってきま……何してんですか都筑さんっっ!!」
「げっ、巽・亘理!」
「なにしとるんやっ都筑っっ!!」


都筑はしっかり巽と亘理に雷を食らった。しかし、それを見ていた密は
「つづきをいぢめちゃダメっ」
そう言って巽と亘理を睨み付ける。
それをいい事に都筑は密に抱きつく。
「ひそかぁ〜」
二人はそれを引き剥がし、密に服を着せようとする。
「ぼく、ひとりでお着替えできる」
心無しか密の瞳が敵意を持っているようだった。
「密は偉いねぇ」
また都筑が密に寄って頭を撫でると密は気持ちよさそうにする。
「えへへ」
「都筑! こっちに来い!」
「黒崎君、これに着替えて下さいね」
密に着替えを渡して都筑を引っ張っていく。


密はタンクトップと半ズボンというなんともラフな格好で、お尻にはちゃんとしっぽを通す穴が開いていた。
「密、かわいい〜vv」
喜ぶ都筑をしりめに巽と亘理は後悔していた。
「やっぱりあれはあかんかったな……」
「でも、あんなに小さいと何着せても可愛すぎる気もしますし……」
「「はぁーーっ」」
二人はふかい溜息をついて諦める。

コメント(反省):
なんか手抜きが目立ちますね……。ところどころ修正はしたんですがねぇ。
ちびになる予定じゃなかった……(泣き)。



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